「神の世界の喜びに包まれる」  石橋秀雄牧師

 


すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ。」

(ルカによる福音書2章13節〜14節)



 「羊飼いたちが野宿しながら、夜通し羊の群れの番をしていた」とルカは記す。町の人々は寝静まっている。しかし、羊飼いは夜羊の番をしていた。突然、天使が現れて、目が覚めて、寝ぼけ眼で見て聞いたのではない。起きて羊の番をしていた。ハッキリと神の言葉を聞いたのだ。しっかりと神の業を見たのだ。
 「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。」と羊飼いたちに神の言葉が響いた。
 民全体と記されているが、羊飼いたちは別だ。羊飼いたちは神を必要としない人々だ。
 土地を持つ必要はない。自然が生きる場だ。羊飼いたちは死を恐れない。命あるものはやがて死んでいく、それは自然なことだ。
 自由といえば、これほどこの世から自由にされて生きている人はいない。王も神も神殿も羊飼いには必要がない。
 「民全体」と言ってもこの羊飼いだけは例外に思える。
 この神を必要としない自然の子が、真っ先に神の栄光に包まれ、天上の喜びを一身に受けるのだ。
 神の世界の賛美の歌に包まれるのだ。天上の賛美の歌だ。神の世界の高らかな賛美の歌が羊飼いたちを包む。
 12節「あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。」とクリスマスの出来事が最初に知らされる。
 13節「すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
 『いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ。』」
 神の世界では喜びにあふれている。天の大軍の賛美の歌が高らかに歌われ、羊飼いたちを包む。
 羊飼いたちは飼い葉桶の乳飲み子を見て、喜びに満たされて、賛美の歌を歌う。天上の賛美の歌が羊飼いたちの賛美の歌となり、天上と地とで賛美の歌が共鳴している。
 乳飲み子の誕生は天上の神の世界の喜びだ。乳飲み子は闇の中に、罪の中に、命を脅かす中に誕生して、闇と罪を背負って十字架の道を進み、罪と死から勝利し、肉親を超えた神の家族として神の家に招かれている。復活の命の世界に招かれている。神の壮大な救いの業が実現したのだ。
 地上の希望の光は消し去られる。ウクライナの痛みは世界の痛みとなり、希望の光が見えない闇の世界に引きずり込まれた絶望が世界を覆っている。
 しかし、どのような闇の中にあっても、苦悩の中にあっても、そこに天上の賛美の歌が響き渡り、わたしたちを包んでいる。わたしたちを包む闇を吹き飛ばす天上の喜びの歌に包まれている。わたしたちも天の賛美の歌に共鳴して、高らかに神を賛美する歌を歌いたい。

 

 越谷教会月報「みつばさ」2023年1月号より



画像:「朝の筑波山」は 朝焼け・夕焼け写真日記からお借りしました。