「救いを見た」 石橋秀雄牧師

 

「 わたしはこの目であなたの救いを見たからです。……異邦人を照らす啓示の光、 」

(ルカによる福音書2章30節・32節)



 
 「メシア」の誕生によって歴史の大転換が起こった。
 「待望の時が終わって成就の時が始まった」(レングストルフ)
 メシアを待ち望む時からメシアが誕生して成就の時に生かされている。
 歴史の大転換の時は、同時に私たちの人生の大転換をもたらす時だ。
 シメオンは「安らかに、平安と平和の中で死んで行くことが出来る」と歌う。
 コロナ禍の不安の中に私たちは生きている。医療崩壊の中で救われる命も救われないという命の不安の中に生かされている。
 この不安の中で、不安を吹き飛ばすメッセージが響く。
 「わたしはこの目であなたの救いを見たからです。」
 「異邦人を照らす啓示の光、あなたの民イスラエルの誉れです。」
 今やイスラエルと同じように「異邦人にも啓示」され、どのような境遇の人も「啓示の光」で照らされる。十字架と復活の救いの光が届かないところはない。
 啓示の光に照らされて「わたしはこの目であなたの救いを見た」と言える救いの世界に生かされる驚きで満たされる。
 33節でシメオンの言葉に「父と母は驚いていた」と記されている。
 このシメオンの驚きをヨセフとマリアは知っている。
 羊飼いたちは飼い葉桶の中の乳飲み子を見て、神の業を見ることが出来、そして驚き喜び帰って行ったのだ。この羊飼いたちを見て「マリアは思い巡らした」。マリアは受胎告知から神の言葉を聞き続けて来た。そして神が語ってくださった御言葉をつなぎ合わせて、自分の身に起こっていることが全て神の業であることを知って驚き喜びの中で神への賛美の歌を歌う。
 そして、今シメオンに起こったことを知って、ヨセフとマリアは「驚く」のだ。
 「啓示の光に照らされて、わたしはこの目であなたの救いを見た」との告白を聞いて私たちは驚くのだ。
 成就の時に生きるものは、聖霊なる神の働きによって「救いを見た」驚きをもって語る。この驚きは常に新しく響く。成就の時に生きる者は常に新しい驚きと喜びと希望に包まれて生かされるのだ。
 


  越谷教会月報「みつばさ」2021年9月号より



画像:アザミ は 「朝焼け・夕焼け写真日記」からお借りしました。


  

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