みことばに聞く  

 「病人を救い」  石橋秀雄牧師

 


「 信仰に基づく祈りは、病人を救い、主がその人を起き上がらせてくださいます。」 

(ヤコブの手紙5章15節)



  
  「あなたがたの中で苦しんでいる人は、祈りなさい。」(13節)「長老を招いて、主の名によってオリーブ油を塗り、祈ってもらいなさい。」(14節)と記されている。
「祈り、祈られる」事が求められている。
「オリーブ油を塗って祈る」この事については、マルコによる福音書6章6節以下で十二人の弟子たちを宣教に派遣する出来事が記されている。
「多くの悪霊を追い出し、油を塗って多くの病人をいやした。」(13節)と記されている。
「病人に油を塗って病気を癒す」ということは主から与えられた重要な使命だ。カトリックでは司祭が行う重要な儀式だ
聖公会では病人が希望するとき、司祭がこの式を行う。塗油には、主教が聖別した純粋のオリーブ油を用いる。オリーブ油が特別なものとして受け止められている。
マルコによる福音書6章13節「多くの悪霊を追い出し、油を塗って多くの病人をいやした。」と記されている。主イエス・キリストが弟子たちを宣教に派遣する出来事の中に記されている。
オリーブ油に特別な神の力が宿るとは書いていない。オリーブ油は薬だ。病気になるとオリーブ油を塗った。
弟子たちは「薬を塗って祈った」のだ。
「治療しながら祈った」と受け止めても良い。祈る事が強調されているのだ。
「祈りなさい」と教えられている。祈ると言うことは主の前に立つことだ。
病の中で、動けない、自分の力でどうにもならない、しかし、「祈ることが出来る」。祈るということは復活の主の前に立つことだ。
「病人を救い、主がその人を起き上がらせてくださる」。
復活の主の前に立ち祈る祈りによって、復活の光に包まれるのだ。そして病の中で救われる。病の中で立ち上がって生きる力が与えられるのだ。
「祈り、祈られる」事が求められる、一人で祈るのではなく、祈り、祈られる教会の交わりの中での祈りが求められる。
死の床に招かれて祈る祈りが、死の床での賛美と祈りが、まさに奇跡と言ってよい世界に変る経験をすることがある。
「一か月は生きることができる。しかし、次の一か月は分からない。」「一週間は大丈夫、しかし、次の一週間は」「今日は大丈夫、しかし 明日は」と死を見つめる信徒が入院する病院を訪ねた。
ベッドから起き上がって聖書を膝においてニコニコしながら待っていてくれた。その笑顔に心が開かれ笑いあった。聖書の言葉を研ぎ澄まされた心で読み、祈り、そして、笑った。
死の直前に一緒に笑うことが出来た。初めての経験だ。
「復活の主が病から救い、主が起き上がらせて下さるのです」、復活の世界に起き上がらせてくださるのだ。 

 越谷教会月報「みつばさ」2020年7月号より




画像:「光芒」は、朝焼け・夕焼け写真日記 からお借りしました。.

  


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