みことばに聞く  

 「自由をもたらす完全な律法」  石橋秀雄牧師

 


「 しかし、自由をもたらす完全な律法を一心に見つめ、これを守る人は、聞いて忘れてしまう人ではなく、行う人です。」

      (ヤコブの手紙1章25節)



  「御言葉を行う人になりなさい。」(22節)とヤコブの手紙の主題が記されていく。
主イエスの教えとヤコブの教えは一致する。
 「そこで、わたしのこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている。」(マタイによる福音書7章24節)
 雨が降り、川があふれ、風が吹いて家を襲っても、倒れない岩を土台としていた家だからだ。
 試練の中で御言葉を実行することによって、御言葉が力となり、御言葉に支えられる喜びを知ることができる。さらに御言葉を聞いて実行するということについて記される。「しかし、自由をもたらす完全な律法を一心に見つめ、これを守る人は、聞いて忘れてしまう人ではなく、行う人です。」(ヤコブの手紙1章25節)
 「自由をもたらす完全な律法」とあるが、律法は自由を奪い、律法を守れない、律法を実行できない人間の惨めさと罪を明らかにするものだと学んできた。
 しかし、自由をもたらす完全な律法とはどういうことであろうか。
 「だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。これこそ律法と予言者である。」(マタイによる福音書7章12節)と主イエスが教えてくださっている。「律法と預言者」とは旧約聖書全体のことだ。旧約聖書の教えることはこの一点に尽きるのだ。「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」これが完全な律法だ。黄金律と呼ばれる御言葉だ。
 この黄金律は「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。」(7節)との有名な御言葉から始まる。そして「あなたがたの天の父は、求める者に良い物をくださるにちがいない」と語られて、黄金律が示される。
 父なる神が、人間が求める以上のものを、何よりも父なる神が子なる神を与えてくださったのだ。欲望が入口になって罪が入り込み、罪のゆえに滅んでしまう私たちのために十字架に死に、復活された主と一つになって生きる、新しい人間に造りかえて下さったのだ。欲望から、自分から、自己中心から自由にされた者として「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」との御言葉が示される。
 コロナウイルス感染が拡大する危機が世界の人々を苦しめ、私たちも苦しんでいる。この試練の中でこの御言葉を聞いて生きる者、御言葉を実行する者となることが求められている。
 今私たちが求める第一のことは「わたしの命が守られる」ことだ。だとしたら他者の命を守ることを第一としなさい、そして実行しなさいとの御言葉が示される。

 越谷教会月報「みつばさ」2020年4月号より




画像:「木香薔薇のつぼみ」 撮影y.f.

  


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