みことばに聞く

 「 すべての人を憐れむ 」  石橋秀雄牧師

 


「 神はすべての人を不従順の状態に閉じ込められましたが、それは、すべての人を憐れむためだったのです。 」

(ローマの信徒への手紙11章32節)



  
 パウロは「秘められた計画をぜひ知ってもらいたい。」(25節)と語りかけている。
 「秘められた計画」と訳されているギリシャ語はミステーリオンだ。ミステーリオンは英語のミステリーの語源だ。
 ミステリーは「謎とか、秘密とか、奥義とか」と訳される。
 ミステリーは推理小説を指すが、ミステーリオンと言えば主イエス・キリストの劇を指した。字を知らない人々の多い時代に主イエス様の劇を路地などで演じて神の救いを教えた。
 ミステーリオンは「閉じる、閉ざす」が最初の意味だ。
 そして、「秘密とか秘儀とか奥義」を意味する言葉となった。
 「神の秘められたご計画」が「奥義」が開かれたのだ。誰でも知ることができるようになった。その秘められた救いに誰でも与れるようになった。主イエス・キリストの十字架と復活によって、すべての者が救われる道が開かれたのだ。
 「この秘められた神の救いの業を、奥義を知らないでいて欲しくない」とパウロは強く訴えている。
 「神はすべての人を不従順の状態に閉じ込められました」(32節)この御言葉はまさにミステリーだ。イスラエルの人々を不従順に閉じ込めた。それは異邦人を救うためだとパウロは語る。何故、主が選んだ民を不従順に閉じ込められるのか。
 そして何故、異邦人を始め「すべてのもの」を不従順に閉じこめられるのか、まさにミステリーだ。この謎が明らかにされる。「すべての人を憐れむため」だと神の御意志が示される。イスラエルが不従順に閉じ込められたのは異邦人が救われるためだった。異邦人が救われたのは、イスラエルを救うためだった。神はすべての人を憐れむ神であり、どんな状況にあっても、最後には主イエスの十字架と復活の命を与えて救うという断固たる神の御意志を示すためだった。
 神は歴史を支配しておられる。そして、歴史支配の目的は、「神の憐れみと恵みの中ですべての人を救い上げる」との強いご意志が示されている。

 越谷教会月報「みつばさ」2019年7月号より



画像:「曲がりきゅうり」撮影y.f.

  


Top  Back