みことばに聞く

 「つながる喜び」  石橋秀雄牧師

 


「 兄弟たち、わたしはこう言いたいのです。肉と血は神の国を受け継ぐことはできず、朽ちるものが朽ちないものを受け継ぐことはできません。わたしはあなたがたに神秘を告げます。 」

(コリントの信徒への手紙一 15章50〜51節)



 越谷教会創立129周年と永眠者記念礼拝を捧げた。教会関係の永眠者とつながりのある方々と共に礼拝を捧げた。
 「つながる」という言葉を考えさせられている。
 今年、大塚清美さんが召された。赤城の麓のキリスト教の保育園に入り、「神への賛美から始まり、神を賛美する事で終わる保育園」の生活をした。
 越谷教会の附属越谷幼稚園のお母さんで越谷教会のキャンドル・サーヴィスの拡大聖歌隊、この聖歌隊は外部からの協力者が与えられての聖歌隊で編成される。その一人として大塚さんは聖歌隊に加わって奉仕をしてくださっていた。
 真鶴に引っ越されて、ガンに犯されて今年の6月14日に召された。
 召される一か月前の5月13日の日曜日に「洗礼を受けたい」という連絡が入り、静岡県立がんセンターに飛んで行って洗礼をさずけた。その時、なぜ洗礼を受ける決心をしたのかというお話をしてくださった。
 その理由は「洗礼を受けることが人生の課題であったということと、つながりたい」ということであった。「つながりたい」との言葉に考えさせられた。
 「朽ちるものが朽ちないものを受け継ぐことはできません。」(50節)と記される。ここではつながりが断ち切られる人間の現実を指し示している。人間は必ず死んで朽ちて行くのだ。愛する者とのつながりが断ち切られる悲しみを誰でも経験しなければならない。
 この人間の現実の中に「決して断ち切られないつながる世界」があることを示している。
 この世界について「わたしはあなたがたに神秘を告げます。」(51節)とパウロは語る。神秘と訳されている言葉は奥義と訳されたり秘密と訳されたりする。
 死んで朽ちて行く人間、しかし、つながる世界がある。その世界がどういうものであるか、「その神秘を、奥義を、秘密を知らせます」とパウロは語る。
 この神秘、奥義、秘密は何か、それがキリスト教の中心だ。
 「この朽ちるべきものが朽ちないものを着、この死ぬべきものが死なないものを必ず着ることになります。」(53節)
 「死者は復活して朽ちないものを着る」すなわち「つながり」が断ち切られるところで、新しいつながりに生きる世界がある。新しい身体が与えられて、神の世界とわたしたちの世界がつながって生きる時、復活の主の祝福が愛するものにそそがれ、その復活の恵みの中に生かされる。復活の命につながる喜びをかみしめながら現実を生きることができるのだ。

 越谷教会月報「みつばさ」2018年11月号より



画像:「白鷺X(エックス)」は 朝焼け・夕焼け写真日記 からお借りしました。

  


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