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そして、天を仰いで深く息をつき、その人に向かって、「エッファタ」と言われた。これは、「開け」という意味である。
マルコによる福音書7章34節
イエスと弟子たちはツロの地を出ると、ガリラヤ湖の東南にあるデカポリスという町に到着しました。デカポリスとはギリシャ語で十の町という意味で当時はギリシャの植民地でギリシャ人が多く住んでいました。
ガリラヤ湖のほとりの小高い丘で弟子たちと休んでおられたイエスのところに、大勢の人がお話を聞きにやってきました。イエスの噂はこの地方にも届いていたからです。その人たちの中に、耳が聞こえず話すことが出来ない人がおりました。
周りの人たちが彼に気づき、イエスにこうお願いしました。
「先生、この人は生まれつき耳が聞こえないのです。先生がそのような人たちを治してくださると聞いています・どうかこの人を治してあげて下さい。」
イエスは話を聞くとすぐに
「ここに連れてきてください」
とおっしゃいました。
その人がイエスの前に連れてこられました。イエスはその人の前に立つと、彼の両方の耳にご自分の指を差し入れました。それから唾をつけてその人の舌に触られました。そして天を仰いでふーっと深く息をなさってからその人に向かって「エッファタ」とおっしゃいました。「エッファタ」とは「開け」という意味なのです。
するとその人はうれしそうな声を出しました。
「ああ、聞こえる!」
回りの人たちはその人が声を出したのにとても驚きました。
「えっ?話すことが出来るようになったんだ。」
なんと、その人はもつれていた舌が自由に動くように、はっきりと話せるようになったのでは7ありませんか。こちらのいうことも聞こえるようです。
イエスはその人にも回りの人々にも
「このことは誰にも言わないように」
とおっしゃいましたが、口止めされればされるほと、人々はかえってますます言い広めるのでした。
その話はその地方の隅々にまで広がり、聞いた者はすっかり驚いて言い合いました。
「イエスという方は素晴らしいことをなさるお方だ。耳の聞こえない人を聞こえるようにし、口の利けない人を話せるようにしてくださる。」