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イエスは、「『あなたの神である主を試してはならない』と言われている」とお答えになった。 悪魔はあらゆる誘惑を終えて、時が来るまでイエスを離れた。
ルカによる福音書4章12〜13節



 ヨルダン川でバプテスマを受けられたイエスは、誰も住んでいない寂しい場所に行かれました。見渡す限り岩だらけの地で、高い崖や獣が住んでいそうな深い洞穴がある、荒れ果てた所でした。
 イエスはそこで、何日も何日も神さまに祈っておられました。神さまの御子として、救い主として、これからどうすれば良いかを天のお父さまから教えていただく為でした。耳を澄ませても、ときおり吹き抜けていく風の音のほか何も聞こえてきません。地面に跪いて、また時には荒野を歩きながら、四十日四十夜、イエスはただ神さまにだけ心を傾けていました。



 その期間が終わると、イエスに近づくものがいました。悪魔です。悪魔はイエスが本当に神さまの御子であることを知っていましたので、これから始まるイエスの救い主のお働きを邪魔しようとして、やってきたのです。
 四十日もの間何も食べ物を口にしなかったイエスに、悪魔はささやきかけました。
 「おなかが空いて弱っているのでしょう。おなかが空いていては何も出来ませんよ。あなたは神さまの子なのだから、この石をパンに変えて、食べたらいかがですか?」
悪魔の差し出した小石には目もくれず、イエスはお答えになりました。
 「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによって生きる』と聖書に書いてあります。」
イエスにとって石をパンに変えるぐらい造作も無いことですが、神さまがそうしなさいとおっしゃらないし、またそのことは神さまのお喜びにならにことだと知っておられたので、なさらなかったのです。たしかに生きるためには食物は必要なものですが、その食物を与えてくださる神さまを知ることのほうがもっと大切だと思われたのです。イエスはそのことを、はっきりと悪魔にお示しになったのです。



 すると次に、悪魔はイエスをエルサレムの都に連れて行きました。そして高い神殿のてっぺんに立たせて言いました。
 「ここから跳び下りてごらんなさい。あなたは神の子なのだから、神さまがきっと助けてくれるでしょう。さあ、跳び下りなさい。聖書に書いてあるとおり、あなたが下に落ちないうちに神が自分の子を助けるかどうか、試してみようではありませんか。」
悪魔は聖書の言葉を引用してイエスを誘惑してきました。けれどもイエスは、悪魔のたくらみを見抜いて、誘いをきっぱりと断わりました。
 「聖書には『神を試してはならない』と書いてあります。」
神さまはどんなことでも出来る方です、でも奇跡を起こすかどうかは、神さまご自身が決められることなのです。



 どうしても、イエスが思いどおりに誘いに乗ってこないのでついに悪魔は本性を現しました。イエスを高い山に連れて行くと、目の前に広がるりっぱな国々を見せながら、こう言いました。
 「ひれ伏して、私を拝みなさい。私を拝むなら、この世界の富を全てあなたにあげましょう」
イエスさまはただちに悪魔をしかりつけました。
 「さがれ、サタン。『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えなさい』と聖書に書いてあるではないか。」
人々を神さまから離れさせ、自分の思い通りに操ろうと企んでいる悪魔にとって、神さまの元に人々を立ち帰らせようとするイエスの働きは、どうしても妨害しなくてはならないことでした。しかし、イエスは断固とした態度を崩さず、神さまへの信頼を持って悪魔の誘惑を全て退けたのです。
  とても勝ち目が無いと悟った悪魔は、すごすごと離れて行きました。