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「彼らが話しながら歩き続けていると、見よ、火の戦車が火の馬に引かれて現れ、二人の間を分けた。エリヤは嵐の中を天に上って行った。 エリシャはこれを見て、「わが父よ、わが父よ、イスラエルの戦車よ、その騎兵よ」と叫んだが、もうエリヤは見えなかった。エリシャは自分の衣をつかんで二つに引き裂いた。 」

(列王記下2章11〜12節)

 

 エリヤはアハブ王に干ばつが終わるのは間近だからエズレルの宮殿に戻る準備をするようにと言いました。暫くすると空が暗くなり、大雨が降り始めました。エリヤの予言が当たったのです。
 しかし、エリヤの勝利は長くは続きませんでした。アハブ王は宮殿に帰ると王妃イゼベルに彼女の祭司たちが処刑されたことを伝えました。それを聞いて怒り狂ったイゼベルはただちにエリヤに使いを送り付けました。
「もし私が、明日の今頃、あなたの命をあの祭司たちのひとりの命のようにしていないならば、私の神々がどんなにでも私を罰してくださるように」。
エリヤは再び逃亡者となり、エズレルから南へ走る細長い山地に沿って旅をし、国境を越えてユダの国へ入りました。さらにこの王国を下り、石灰岩と白亜から成るなだらかな丘陵郡に囲まれたネゲブ、べエル・シェバを経、南の熱風が吹く不毛の荒野へと入って行きました。



 200キロの長旅の末、ある小さな峡谷にあるエニシダの茂みの日陰で、疲れ果て休息していたエリヤは、悲嘆にくれ「主よ、もはやじゅうぶんです。今私の命を取って下さい。私は先祖に勝るものではありません」と主に呼びかけました。彼が堅い地面に身を横たえて眠っていると、夢の中で天使が現れ彼に触れて「起きて食べなさい」と言いました。エリヤが目を覚ますと、そこには新鮮な水と焼け石で焼いたパンがありました。次の日も食べ物が与えられ、力づけられたエリヤは神の山シナイ山に辿り着きました。シナイ山はモーセが十戒を授かった場所です。



 エリヤは山の中腹に洞窟を見つけ、そこで一夜を明かす準備をしていました。しかし、そこで神の声を聞いたので外に出てみると、激しい暴風が吹き荒れ、また地震と大火が起こりました。そして最後に主の「静かな細い声」がエリヤに「ここでなにをしているのか」と尋ねました。
「私は万軍の神、主のために非常に熱心でありました。イスラエルの人々はあなたの契約を破り、あなたの祭壇を壊し、刀であなたの預言者たちを殺しました。わたしはたった一人生き残りましたが、彼らはわたしの命を狙っているのです。」
とエリヤは答えました。すると、神はエリヤに、イスラエル王国に戻って務めを続け、彼の跡を継ぐエリシャという男を捜しなさいと言いました。
エリヤは神の言葉通りに数週間の旅の末、アベル・メホラという町で、父の畑を耕しているエリシャという若者を見つけ出しました。エリヤは自分の着ている外套をこの若者の両肩に掛けて、後継者に任命しました。エリシャはすぐさま、家族に別れを告げエリヤの跡に付いて行きました。



 さて、エリヤが逃げ隠れしている間に、アハブ王は戦いに明け暮れていましたが、ついにシリヤと連合を組みアッシリア軍と戦い、その進攻を阻止しました。情勢が落ち着くと、アハブ王は今度は王宮に隣接する、広大な地所に関心を抱くようになりました。そして、先祖代々から立派なぶどう園を受け継いできたイズレエル人のナボトという男に、そのぶどう園を譲ってくれるように頼みました。しかし、ナボトは承知せず、しぶしぶ王宮に帰ったアハブ王でしたが、不機嫌な気持のままで食事もせず寝室に引きこもってしまいました。王妃イゼベルはそれを聞くと寝室に入り、王から一部始終を聞きました。イゼベルは笑いを浮かべて 
 「あなたが今イスラエルを治めているのではありませんか、さあ食事をして元気を出して下さい。私がナボトのぶどう畑をあなたに差し上げます」
と言いました。
イゼベルの策略により、ナボトは断食の最中に石で撃ち殺されてしまいました。こうしてぶどう畑を手に入れ喜んだアハブ王でしたが、主はそれを見逃さず、エリヤを遣わしてアハブ王にこう言わせました。
 「あなたが主の目の前に悪を行うことに身を委ねたゆえ、わたしはあなたとあなたに繋がるものに災いを下そう。」
アハブ王はこれを聞くと、深く反省し、粗布をまとって断食をしました。アハブ王の打ちひしがれている様子を見て、主はエリヤに
 「アハブが私の前にへりくだり、悔いているのを見たので、私は彼に災いを下さず、彼の子の時代になってから災いを下すことにする」
と、言われました。
 アハブ王は後のラモト・ギレアドの戦いにおいて、一人の兵の何気なく引いた弓矢に当たって命を落とすことになります。



 さて、エリヤはエリシャを連れて、ギルガル・ベテル・エリコへの巡礼の旅をしていました。年老いた預言者エリヤは、自分の死期が近づきつつあるのを感じ、再三エリシャに自分から離れ、その地に留まるように頼みましたが、若いエリシャは
 「主は生きておられ、あなたご自身も生きておられます。わたしはあなたから離れません」
と頑として言い張りました。
二人はエリコからヨルダン川まで歩いて行きました。川のほとりでエリヤは自分の毛皮の外套を脱いで丸め、それで水を打つと、水が左右に分かれたので、二人は乾いた土の上を渡ることができました。渡り終わると、エリヤはエリシャに向かって
 「私があなたのもとから取り去られる前に、あなたのして欲しいことを求めなさい」
と言うと
 「どうぞ、あなたの霊の二つ分をわたしに受け継がせて下さい」
とエリシャが答えました。
「あなたはむずがしい事を求める。わたしが取り去られるのを見るならば願いはかなうが、見ないならそのようにはならない」。
 こうして二人が語りながら歩いていると突然一台の火の車が二人の間を裂き、エリヤは嵐の中を天へと上って行ってしまいました。エリシャをこれを見て
 「わが父よ、わが父よ、イスラエルの戦車よ、その騎兵よ」
と叫びましたが、もうエリヤの姿はなく、そこに着ていた外套が落ちているだけでした。
エリシャは外套を拾い、ヨルダンの岸辺に引き返し、外套で水を打つと、水はエリヤのときと同じように左右に分かれました。エリコの預言者たちはそれを見て 「エリヤの霊がエリシャの上にとどまっている」と確信しました。


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