March



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主はサタンに言われた。「お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。」
(ヨブ記 1章 8節)

紀元前5世紀ごろに書かれたといわれている、ヨブ記は人間苦をテーマとした世界文学の中でも、その内容の突き詰め方や文体からして最も優れた文書として見なされています。
 ヨブはいつも神様に従い、掟を忠実に守る正しい人で、神様に背くことや人を困らせるようなことなどは決してしませんでした。まじめに働いて財産を貯え、子供たちも立派に成長して、家族は皆幸せな生活を送っていました。
 ところが或る日、サタンが神様の御前に出て行き、こんなことを言いました。
 「ヨブは働き者で、正直で、いつもあなたに従っています。あなたがヨブを祝福したので、あんなに財産を増やすことが出来たのです。でも、もし、ヨブの財産を取り上げてしまったら、さすがのヨブもあなたを呪うことでしょう。ヨブがあなたに忠実なのは、金持ちにして頂いたからに決っています。」
神様は、ヨブを試す為に、サタンがヨブの財産に手をつけることをお許しになりました。そこで、サタンは喜んで、神様のもとから去っていきました。



或る日、ヨブの家で宴が開かれていた時、一人の僕がヨブの所へ走ってきて
 「大変です。突然北方の流民の群れに襲われ、家畜たちが全滅しました。他の僕たちも全員襲われ、私だけがやっとのことで逃げ延びてきました」
と語り、それが終わらないうちに次々と悪い知らせが飛び込んで来て、気がつくとヨブは一文無しになっていました。
この悲しい知らせの数々を聞くと、ヨブは地に平伏して礼拝し、祈りを捧げました。
 「私ははだかで生まれました。ですからはだかで死にましょう。私に財産や子供たちを与えて下さったのは神様です。これをお取り上げになるのも神様です。神様を讃えられますように。」
嘆きも、呪いもヨブの口からは出ませんでした。



 これを見たサタンはがっかりして、また神様の御前に出るとこう言いました。
 「今度は、ヨブの身体を痛めたらいかがでしょう。ヨブは身体が丈夫なのであなたに従っているのです。病気になったらあなたを呪うに決っています。」
神様はヨブを試す為に、サタンの計画をお許しになりました。
 このときから、ヨブの身体には頭の先から足の裏まで厭な腫れ物が出来ました。ヨブは痒さに耐えかねて、灰の中を転げ周り瀬戸物の破片を取って掻きむしりました。妻ですら、慰め手にはなってくれず、「こんな目にあっても、まだ聖人づらしているの?」と蔑みました。
 それでもヨブは神様を呪うことなくこう言いました。
 「わたしたちは神様から幸せを頂くのです。ですから災いも神様から頂くのは、あたりまえのことです。」



ヨブの災難を聞いた3人の友人たちが、急いでお見舞いに駆け付けて来ました。3人はヨブの変わり果てた姿を見て、口々に慰めるのでした。
 「神様はどんなこともお出来になる正しい方です。訳も無いのに人を苦しめることはなさらない。あなたは何時か悪いことをしたのでしょう。だから今になってそんなに苦しむのでしょう。隠している罪を認めて、神様に許しを願うのがいい。そうすれば、神様はきっと許して下さるはずですよ。」
けれどもヨブは、自分が正しいことを信じていました。思いでも、言葉でも、行いでも、神様と人に対して、悪いことをした覚えは全くないのです。それでヨブは友だちに言いました。
  「私を救う方は生きていらっしゃる。いつかきっと、この世にお出でになる。私はその方を見ることが出来るでしょう。その方は私の味方なのです。」
こうして、ヨブは最後まで神様を呪わず、試練を耐え忍びました。財産をなくしても、子供たちが死んでしまっても、自分が重い病気になっても、神様を恨まずに何処までも信頼し続けました。神様だけが、救う方であると硬く信じ、希望しました。それでサタンもヨブには勝つことが出来なかったのです。
 この恐ろしい試練のあと、神様はヨブを祝福して、今までよりももっともっと、ヨブを幸せにして下さったことは言うまでもありません。




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