June

 



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ごく小さな事に忠実な者は、大きな事にも忠実である。ごく小さな事に不忠実な者は、大きな事にも不忠実である。
ルカによる福音書16章10節

 ある日イエスは弟子たちを呼び集めると、いつものようにお話をし始めました。
 あるお金持ちの家に管理人が一人おりました。彼は主人に代わって商売や事務、また財産の一切を取り仕切っていました。ところが、この管理人は任せられていたことをいいことにして、日頃から主人の財産を着服して、勝手に使い込んでいたというのです。
 しばらくは見つからずに少しずつごまかしていたのですが、次第に調子にのって、彼の不正は目に余るようになってきました。
とうとう、その管理人が主人の家の財産を無駄遣いしていると告げ口する者がおりました。そこで主人は管理人を呼びつけてこう言いました。
 「お前が私の財産を遣い込んでいると告げ口する者がいました。それは本当のことなのですか?今迄の会計の帳簿を出して見せなさい。それが本当のことだとわかったら、もうお前に管理を任せておくことが出来ませんよ。」
主人は管理人の不正を厳しく追及し、解任の予告をしたのでした。

 

 

 管理人はその主人の言葉を聞いてあわてました。とても謝って済むような金額ではなかったのでありましょう。
 『どうしよう、主人は私から管理の仕事を取り上げようとしている。この職を失ったら、いったい何をして生きていったらいいのだろう。土を掘ったりするような力仕事は今さら出来ないし、かといって物乞いをすることも恥ずかしくてとても出来やしない。何としたもんか。』
彼はピンチを切り抜ける方法を必死に考えました。
 『そうだ、こうしよう。管理の仕事を辞めさせられても、私を家に迎えてくれるような者たちを作ればいいのだ。』
そう思い立つやいなや、彼はすぐに主人に借金がある人たちを一人ひとり呼び寄せました。
 
 



 まず最初の人がやってきました。
 「あなたは私の主人にいくらの借りがあるのですか?」
その人が
 「油100パトスです。」
と答えると、
 「ここにあなたの証文があります。ここに座って、これを油50パトス」に書き換えておきなさい。」
と便宜をはかってやりました。
 次の人にも、
「あなたは私の主人にいくらの借りがあるのですか?」
その人が
 「小麦100コロスです。」
と答えると、
 「ここにあなたの証文があります。ここに座って、これを小麦80コロス」に書き換えておきなさい。」
と便宜をはかってやりました。
その変わりに、自分が困った時には助けてくれるようにと、恩を売ったのです。こうして、この管理人は、不正の上に不正を重ねて、身の保全をはかったのでした。



 それを知った主人はどうしたでしょうか?もちろん普通ならこんな酷い管理人は、役人に突き出すが牢屋に入れてしまうことでしょう。しかし、この主人はなんとこの管理人の抜け目のないやり方を褒めたのです。
 「この世の子らは、自分の仲間に対して、光の子らよりも賢くふるまっているではありませんか。 」
と、感心までしているのです。
 イエスもまた、この不正な管理人の利口なやり方を称賛して、「あなたがたもこの不正な管理人を見習いなさい」とまで仰るのです。これはいったいどういうことなのでしょうか。
 この不正な管理人は抜け目がなかった、つまりお金に使われるのではなく、お金を自分のために有効に使う知恵をもっていたと、イエスは言われるのです。敢えてイエスは美しい話ではなく、不正にまみれた男の不正にまみれた富の使い方というものを、ここで引き合いに出されました。「不正にまみれた富で友達を作りなさい」とは、利己心や虚栄心や偽善というものが混じっていたとしても、それでもいいから、少しでも人から喜ばれるような事を、人から感謝されるような事をして、自分を愛してくれる友達を作りなさいということなのでしょう。
 自分は正しい人間だと思っている人たち、つまり光の子に対して、きれい事ばかりを言って、結局何もしない人になってはいけないという警告をなさったのでした。
 「ごく小さな事に忠実な者は、大きな事にも忠実である。ごく小さな事に不忠実な者は、大きな事にも不忠実である。」と、この不正な管理人が「富に」忠実で「富に」徹底的に仕えたように、私たちが「神に」忠実で「神に」徹底的に仕える道を勧めたのでありましょう。



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