June






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主はお答えになった。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」
(ルカによる福音書10章41〜42節)



 エルサレムの東にむかしからオリーブの木が青々と茂っているのでオリーブ山と呼ばれる山があります。高さがあまりなく静かな場所なので、よくイエスはお祈りに登られておりました。その山のふもとにベタニヤという小さな村がありました。その村にイエスが愛しておられたマルタとマリア姉妹、と弟のラザロが住んでおりました。イエスはこの地方を通られる度にこの三人の家に立ち寄られておりました。三人ともイエスをとても尊敬していましたので、いつでもイエスと弟子たちを歓迎しました。イエスも弟子たちもこの家により、おしゃべりをしたり、マルタの作る御馳走をいただいたりといつも楽しく過ごすのでした。
 

 


 その日もマルタが家に迎え入れてくれたので、イエスと弟子たちは旅の疲れを癒そうと彼らの家に立ち寄られました。働き者のマルタはさっそく御馳走の準備を始めました。イエスの弟子たちは12人もおり、どの人も屈強な働き盛りの男でしたので、食べる物を用意するのも大変な作業です。かまどの大きなお鍋ではスープがぐつぐつ煮え、パンの焼く美味しそうなにおいも漂ってきました。
 マルタは「これから魚を焼いて、それから果物も切って・・・」と食事の支度のことでいっぱいでした。マルタは一緒に支度をいていたマリアに「ちょっとマリア、この果物を洗って」と声をかけると、マリアは近くにいないではありませんか。ふと見ると、マリアはイエスの足元に座って熱心にお話を聞いているではありませんか。
 「ねえ、マリア少しこちらを手伝って欲しいんだけど。」
と声をかけてきたマルタに悪いとは知りつつも「イエスさまのお話は素晴らしく、心が落ち着いて和やかな気持ちになるんだもの。もうちょっとだけここに座ってお話を伺っていたいわ」とマリアは考えました。

 

  マリアが手伝ってくれないので、マルタはイライラし始めました。「イエスさまに喜んで頂きたい」という気持ちで始めたことでしたが、いつの間にか一人で何もかも背負っておるという不満が胸いっぱいに膨れ上がっていったのです。ついに、我慢の限界が訪れたのか、その気持ちをなんと尊敬するイエスにぶつけてしまいました。
 「イエスさま、妹は先ほどからずっとあなたの足元に座ったまま何もしないのです。私だけがこうしていっしょうけんめいに働いているのに何ともお思いにならないのですか?マリアに少しは手伝うように言ってください。」
 するとイエスはマルタにやさしくこう諭されました。
 「マルタ、マルタ、あなたはあれこれと全てに気を遣いすぎ、思い悩んでいるようですね。けれども、どうしても必要なことは僅か一つなのですよ。マリアはその良いほうを選んだのです。マリアからそれを取り上げてはいけません。」
 マルタはイエスや弟子たちのために喜んでもらおうとせっせと働きました。イエスはそのマルタの気遣いをもちろん喜ばれましたが、でも何よりも望まれたのは、まず静かにイエスのお話を聞くことだったのです。




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