イスラエルに戻ったエリシャは布教を再開し、ゲハジという僕が引くろばに乗り地方の隅々まで旅をしていました。ある所で信心深い夫を失い借金を抱え悲嘆に沈む寡婦に話し掛けられました。彼女の二人の息子たちは債権者の奴隷とされようとしており、しかも全くお金がなく、壺にオリーブ油が少しあるだけでした。エリシャは彼女に近所から器を出来るだけ沢山借りてきて、そこに油を注ぐように指示しました。すると驚いたことに全部の器がいっぱいになるまで油は尽きることがなく、彼女とその息子たちは、油を売ったお金で生活していくことが出来るようになりました。 |
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エリシャはシュネムという村で、裕福な夫婦と知り合い親しくなりました。彼らは敬愛する預言者のために部屋と家具を整えてくれました。彼らには子供がなく、婦人が子供を欲しがっているのを知ったエリシャは「翌年には子供を抱いているだろう」と予言しました。二人ともこの言葉を信じませんでしたが、この婦人は身ごもり、翌年に男の子を産みました。
数年たって大切に育てられたこの男の子は、畑で父の手伝いをしている時に日射病にかかり、母親に抱きかかえられて息を引き取りました。半狂乱になった母親はエリシャに助けを求めようと、彼を捜す旅に出ました。それを聞いたエリシャはすぐに僕ゲハジに自分の杖を持たせ子供の所へ急がせましたが、子供の顔に杖を置いても生き返りませんでした。エリシャは急いで母親と一緒にシュケムに戻り、戸を閉じて横たわっている子供を前に祈り続けました。そして子供の上に伏し、子供の口に自分の口を、目には目を、手には手を重ねて屈み込むと、子供は暖かくなり七回くしゃみをし、目を開けました。婦人は大喜びをして子供を抱きかかえ、エリシャに感謝の礼を何度もしました。 |
こうしてエリシャは、エリヤほど際立った存在ではありませんでしたが、優しい心と数々の奇跡によって人々の心を掴んでいきました。エリシャはイスラエルの人々の毎日の問題に心を砕き、さらに政治的、軍事的な事件にも関わりを持つようになっていきます。
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