July






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 「見よ、わたしはわたしの僕バビロンの王ネブカドレツァルに命じて、北の諸民族を動員させ、彼らにこの地とその住民、および周囲の民を襲わせ、ことごとく滅ぼし尽くさせる、と主は言われる。そこは人の驚くところ、嘲るところ、とこしえの廃虚となる。」
  (エレミヤ書 25章 9節)


 ユダ王国がバビロンによって滅ぼされ、王国の多くの民が捕囚としてバビロンに連れていかれ苦しい時代を迎えるようになった経緯はこうなのです。
バビロンがユダを破滅させた理由を理解するためには、アッシリア崩壊後の事態の推移をたどってみる必要があります。アッシリア崩壊によりシリア・パレスチナの地域には政治的真空状態ができていました。これを埋めるため、エジプトとバビロンとが争っていました。アッシリアが衰退するにつれて、エジプトは宿敵バビロンが支配勢力となるのを防ぐため、アッシリアを支援するようになったのです。
 同時にエジプトは、地中海東岸(レバント)地方の元アッシリアの領土の一部を支配下に置くようになります。当時のユダ王ヨシヤは進攻してきたエジプト軍と衝突し、前609年にメギドで戦死してしまいます。これにより、ユダは完全にエジプトの支配下にはいりました。エジプトは今やユーフラテス川以西の支配者となったのです。

 
 しかし前605年、バビロン軍がエジプトに支援されたアッシリア最後の一軍をカルケミシュの戦いで破ると、勢力のバランスは根本的にゆらぐこととなるのです。 紀元前604年にはバビロン軍はユダ王国に最初の攻撃を仕掛けてきました。その時、王だったヨヤキムは戦わずして屈服し、バビロンの王ネブカドレツァルに莫大な貢物をしてことを得ました。
 紀元前601年にエジプトとの激戦に敗れたバビロニアの撤退に、気を良くしたユダ王ヨヤキムは、愚かにもバビロンに反抗を企てました。バビロンはすぐに敗軍の再建に着手し、直ちに属国の編成軍をユダ王国に派遣して、ユダ王国を攻撃させました。その戦いも始まらないうちにヨヤキムは急死してしまい、18歳になったばかりの息子ヨヤキンが即位し、エルサレムを包囲するバビロン軍とかろうして対峙しておりました。だが、3ヶ月の包囲のあと、紀元前597年3月15日についに首都は陥落していまいます。

        

 征服者バビロン軍は神殿や宮殿から多くの宝物を持ち去り、王ヨヤキンとその家族、政府の高官や有力者、兵士、熟練した職人たちが捕虜としてバビロンへ移されてしまったのです。しかし、この時点ではまだ町が崩壊されることはありませんでした。
 バビロン王ネブカドレツァルはヨヤキンの叔父のゼデキヤをユダの支配者としました。ゼデキヤはユダ王国の独立を求める民とバビロンに挟まれていつも優柔不断な態度を取っていたと言われています。預言者エレミヤははユダの民に向かって「主との契約を冒した当然の報いであるから、その厳しい運命を甘受すべきであり、バビロンに仕え反抗すべきではない。70年間捕囚の身におき、その後はあなた方に繁栄をもたらすと主は言われる」と声を大にして語り続けましたが、しかしユダの民はそれを聞き入れず、ついに反抗を企て独立を宣言してしまうのです。

      

  ゼデキヤ王の治世の8年目の年、「バビロンの王ネブカドレツァルは全軍を率いてエルサレムに到着し、陣をしき、周りに堡塁を築いた」と列王記下25:1に記されています。紀元前587年夏にいたる18ヵ月間、町は包囲されたままであったそうです。市内の状況はきわめて悪化し、飢餓のために人肉を食べて飢えをしのぐ者もいるほど悲惨な状態でした。
 バビロン軍が町の城壁を破って攻めてくると、ゼデキヤはトランスヨルダンヘと逃げようと計りました。がしかし、彼はエリコの近くで捕えられてしまいます。バビロンとの条約を破った罪により、彼はリブラにいたネブカドネツァルの前に引き出され、そこで自分の息子たちが処刑されるのを見せられます。ゼデキヤ自身は、やがて目をつぶされ、バビロンで鎖につながれ、そこで死ぬことになります。やがて1ヵ月のうちに、バビロン軍はエルサレムとその神殿を完全に焼き落としました。城壁を破壊し、残っていた国民は捕虜として連行しました。ただ「この地の貧しい民の一部は、……ぶどう畑と耕地にそのまま残された」(列王記下25:12)。人びとが強制連行され、この地が「全く廃虚」(エレミヤ書25:11)とされたことは、考古学的証拠からも裏づけられています。この国民の捕囚と国土の荒廃によってユダの王国は消滅したのであります。

 

             
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