July



 

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主はソドムとゴモラの上に天から、主のもとから硫黄の火を降らせ、これらの町と低地一帯を、町の全住民、地の草木もろとも滅ぼした。 ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱になった。
(創世記19章24〜26節)

       
 
 ロトの住み着いたソドムや、その近くの町ゴモラは、富み栄えていましたが、人々は奢り高ぶって、神の教えを守りませんでした。主はソドムとゴモラの人々がみだらな行いや贅沢極まりない生活を続けているのをご覧になり、嘆かれ、ついにこれを滅ぼすことにされました。しかしアブラハムが町の救済を強く望んだので使いを送り、町の様子を視察することにしました。
 主から送られた二人のみ使いが夕方ソドムに着いたとき、ロトはソドムの門の所に座っていました。ロトは彼らを見つけるとすぐに、立ち上がって迎え、地にひれ伏して言いました。
 「皆様方、どうぞ僕の家に立ち寄り、足を洗ってお泊まりください。そし明日の朝早く起きて出立なさってください。」
彼らは言いました。
 「いや、結構です。わたしたちはこの広場で夜を過ごします。」
しかし、ロトが是非にと何度も勧めたので、彼らはロトの所に立ち寄ることにしました。ロトは酵母を入れないパンを焼いて食事を供にし、彼らをもてなしました。
 
 はたして、彼らがまだ床に就かないうちに、ソドムの町の男たちがこぞって押しかけ、ロトの家を取り囲んでわめきたてました。
 「今夜、お前の所にきた連中はどこにいる。ここへ連れて来い。なぶりものにしてやるから!」
 ロトは戸口のまえにたむろしている男たちのところへ出て行き、後ろの戸を閉めて言いました。
 「どうか皆さん、乱暴な事はしないでください。実はわたしにはまだ嫁がせていない娘が二人おります。皆さんにその娘たちを差し出しますから、どうかあのお客人たちには何もしないで下さい。この家の屋根の下に身を寄せていただいたのですから。」
しかし、男たちは引き下がらず
 「そこをどけ」
 「こいつはよそ者のくせに指図などしやがって、お前を先に痛い目に遭わせてやる」
そして、ロトに詰め寄って身体を押し付け、戸を破ろうとしました。 二人の客はその時、手を伸ばしてロトを家に引き入れ戸を閉め、戸口の前にいる乱暴なものどもすべてに目潰しを食らわせ、戸口を解らなくしました。
 二人の客はロトに「他に、あなたの身内の人がこの町にいますか。あなたの婿や息子、娘などを皆連れてここから逃げなさい。実は私たちはこの町を滅ぼしに来たのです。大きな叫びが主の元に届いたので、主はこの町を滅ぼすために私たちを遣わされたのです」と言いました。
 ロトは娘たちのいいなずけたちにも、逃げるように言いに行きましたが、ふざけていると思われたのか、相手にされませんでした。
 夜が明ける頃、御使いたちはためらうロトを「さあ、早くあなたの妻とここにいる二人の娘を連れて行きなさい。さもないと、この町に下る罰の巻き添えになって滅ぼされてしまう」と、せきたてました。主はロトを憐れんで、御使いたちに手をとらせ、町の外に避難するようにされました。
 「命がけで逃れよ。後ろを振り返ってはいけない。低地のどこにも留まるな。山へ逃げなさい」
と主が言われると、ロトは、
 「主よ、あなたは僕に目を留め、慈しみを豊かに示し、命を救おうとしてくださいます。しかし、私には山まで逃げ延びる事は出来ません。おそらく災害に巻き込まれて、死んでしまうでしょう。御覧下さい、あの小さな町を。あそこなら近いので避けていけると思います。どうかそこへ逃がして、命を救ってください」
と頼みました。
主は言われました。
 「よろしい。あなたのその願いを聞き届け、その町は滅ぼさないことにしよう。急いで逃げなさい。あなたがあの町に着くまでは、私は何も行わない」
そこで、その町はツォアル(小さい)と名付けられたそうです。
 
 ロトがツォアルに着いた時、朝日が地上に昇ってきました。それと同時に、主はソドムとゴモラの上に、天の主のもとから硫黄の火を降らせ、これらの町と低地一帯、町の住民、地の草木もろとも滅ばされました。
 ロトの妻はその時、何が起こっているのか見たくてたまらず、後ろを振り返ってしまい、塩の柱と化してしまいました。
 この、ソドムとゴモラの話は長い間、聖書学者の興味の対象となってきました。主が「硫黄と火」とを降らせて滅ぼしたこの2つの町の位置は、今日ある学説によりますと「塩の海」つまり死海の南部湖底とされています。死海最南端には、他の場所よりもずっと浅い湖底となっている所があります。かつてここは肥沃なシデムの谷であったと思われます。紀元前2000年初期、この地域に、ある種の大きな地殻変動と火山活動が生じたことが地質調査で判明しています。その時にシデムの谷底は、急激に陥没して水中に沈んだものと思われます。ソドムがあったと思われる死海沿岸に、硫黄の匂いが立ち込めているところがあるそうです。ソドム山中には結晶は成長して盛り上がるとき、堅い岩に阻まれて出来た巨大な岩塩の穴マーロット・アルボタイム(煙突の穴)があります。「火と硫黄が降り、煙が立ちのぼった」という聖書の記述そのものの名まえですね。
塩の柱となったロトの妻だといわれている岩 死海南部の浅瀬
(撮影:N兄)
---死海---
 死海は塩分の濃度が普通の海の約8倍で25%もあります。海面下約400mで、世界で最も低い地点であります。ヘルモン山からガリラヤ湖、ヨルダン渓谷、紅海を貫きアフリカのビクトリア湖に至る大地溝帯の最も深いところに位置しています。死海の南北の長さは約78km、東西の幅は約18km、面積は琵琶湖の2倍弱で、約1020km2あります。この死海のほとりにソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイム、ゾアルという5つの都市があったと伝えられています。この中で最も大きな都市がソドムであったため、古代では死海を「ソドムの海」とも呼んだそうです。神がソドムとゴモラを滅ぼした後、この沿岸も死の景観になってしまったと伝承は伝えています。今日、厚い塩の層で覆われた枯れ木が浅底の湖面から顔を出しています。
  昨今の死海ですが、上流のヨルダン川の水の使用量が増えて、死海に流入する水量が年々減っています。そのために死海の水位も下がり続けて、死海の南部は北部とつなぐために運河が掘られています。イスラエルではその対策に、地中海の水を死海に取り込むことも考えていると聞きました。



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