sun
mon
tue
wed
thu
fri
sat
*
*
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
*
*
*
*
*
ところが、その間にミディアン人の商人たちが通りかかって、ヨセフを穴から引き上げ、銀二十枚でイシュマエル人に売ったので、彼らはヨセフをエジプトに連れて行ってしまった。
(創世記 37章 28節)
これからイスラエル(ヤコブ)の12人のこどもたちのお話を始めることにしましょう。この12人の子供たちが後のイスラエル民族の12部族となっていくのです。
ヤコブは12人の子供たちの中でも、ラケルの最初の子(12人のうちでは11番目の子)を特にかわいがっていました。名をヨセフと言うその子は他の兄弟たちが着ないような、縫い取りをした上等の長い衣を着せてもらっていました。当時長い丈の衣は身分のある人や長老しか着ない特別なものでした。他の子供たちはヨセフだけ特別扱いされているので、ヨセフのことを大変ねたんでいました。しかもヨセフは自分だけが大事にされて何をやっても叱られないので、思い上がっていて傲慢な子供でした。そして、兄弟たちにこんなことを言ったのです。
「私は、夕べこんな夢をみました。皆で畑に出て麦を刈って束ねていると、私の束がひとりでに立って、みんなの束は輪になって私の束におじぎをしましたよ。」
また、こんなことも言いました。
「私はまた、夢をみました。それは太陽と月と11の星が、私を拝む夢でした。」
それを聞いた兄弟たちは悔しくて悔しくて、皆で「思い上がるのもいいかげんにしろ」と悪口を言い合いました。
ある日、ヨセフは父ヤコブの言いつけで、羊の世話をしている兄さんたちのところへ行きました。羊飼いは良い草原を捜して時々ひどく遠くへ行ってしまうことがあるので、心配した父が兄さんたちの様子を見てくるようにと言ったのです。ヨセフは広い山や谷をあちこち捜してやっと兄さんたちの羊を見つけ駆け出しました。
兄たちはそれを遠くから見つけ、
「見ろ。『夢みる者』がこっちへやってくるぞ。どうだいあいつを殺して、この穴へ放り込もうじゃないか。そうしたらあいつの夢がどうなるか・・・見てやろうじゃないか。」
長男のルベンはそれを反対しました。
「よせよ、なにも殺さなくてもいいじゃないか。ただ、この穴の中へ放り込んでおけばいいよ。この穴なら、ひとりで出ることなんかできないんだから。」
ルベンはこうしておいて、あとでヨセフを助け出そうと考えたのです。そして騒ぎにならないように離れた所へ行ってしまいました。
ヨセフが来ると、他の兄達は寄ってたかってヨセフを押さえつけ、着ている上等な衣をはいでヨセフを穴の中へ投げ込みました。その穴は水を貯めておく大きな深い穴でした。ヨセフははい上がることもできず兄たちを呼び助けを請いましたが、誰もそれには応答しませんでした。
穴のあった土地ドダンは北にダマスコ、南にはエジプトがあり、その付近は隊商の通る街道に沿っていたようです。
暫くすると、そこへイシュマエル人の隊商がギレアドの方からやって来るのが見えました。らくだに樹脂、乳香、没薬を積んで、エジプトに下って行こうとしているところでした。兄の一人のユダは兄弟たちにこう言いました。
「弟を殺したり、いじめたりしても何の得にもならないではないか。 それより、あのイシュマエル人に売ろうではないか。弟に手をかけるのはよそう。あんな生意気な弟だって、肉親の弟なのだから。」
兄弟たちは、これを聞き入れました。
ところが、兄弟たちがそうこう話し合っている間にミディアン人の商人たちがそこを通りかかって、穴にいるヨセフを見つけてしまったのです。彼らはヨセフを穴から引き上げ、しめたとばかりに銀二十枚でイシュマエル人に売ってしまいました。こうしてイシュマエル人の隊商らはヨセフを奴隷としてエジプトに連れて行ってしまいました。
そんなこととは露とも知らない長兄のルベンが、そろそろ騒ぎが収まったとみて、ヨセフを助け出そうと穴のところに戻ってみると、穴の中には誰もいませんでした。ルベンは驚き、嘆いて自分の衣を引き裂き、 兄弟たちのところへ帰りました。
「あの子がいない。父上になんと言ったらいいのだろう。わたしは、このわたしは、どうしたらいいのか。」
と言い嘆き悲しみました。 兄弟達は皆で智恵をしぼり、羊を一匹殺すとヨセフの着ていた衣をずたずたに裂き、その衣に羊の血を染み込ませました。そしてそれを、使いの者に持たせ「この衣を見つけましたがこれはヨセフの着ていた衣ではありませんか?どうか調べて見てください」と父の元に送り出しました。
ヤコブは、その衣を丹念に調べて言いました。
「これはあの子の着物に間違いない。ヨセフは野獣に襲われたのだ。ああ、あの子はかみ裂かれてしまったのだ。」
ヤコブは自分の衣を引き裂き気も狂わんばかりに嘆き悲しみました。そして粗布を腰にまとい、幾日もその子のために泣き続けました。 ヤコブは若い頃、野獣の毛を身体につけてヤコブの父を騙し、兄のエソウの祝福を横取りしてしまったことを思い出し、今更ながら悔やんだのかもしれません。
息子や娘たちが代わる代わるやって来て、慰めようとしましたが、ヤコブは慰められることを拒み続けました。
「ああ、わたしもあの子のところへ行ってしまいたい、嘆きながら陰府へ下って行こうではないか。」
父はこう言って、ヨセフのために苦しみ抜きました。
さて、エジプトに連れて行かれたヨセフは神の加護のもと、ファラオの侍従長のポティファルという人に買われました。この人は、ヨセフには神がいつも共にいて彼が正しい行いをするのを見て、奴隷のあつかいをせず、目をかけて家のことを一切彼に任せました。神さまはヨセフもそしてポティファルの一家も祝福され、その家は栄え豊かになりました。