April



 
sun mon tue wed thu fri sat
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

 

 

 イエスは言われた。「行かせることはない。あなたがたが彼らに食べる物を与えなさい。」 弟子たちは言った。「ここにはパン五つと魚二匹しかありません。」
(マタイによる福音書 4章 16〜17節)

 イエスには回りに集まってくる人たちの代表として12人の弟子がおりました。彼らはイエスと一緒に行動するだけでなく、いろいろな地方に伝道旅行に出かけました。彼らは伝道旅行から帰ってくると、各地で経験したこと、失敗したこと、また出会った人たちが神さまを信じるようになったことなどをイエスに報告しておりました。その日も弟子たちの話を聞いた後、しばらく休むために弟子たちと舟に乗り山の上の静かな場所へと向かいました。しかし、大勢の群集がイエスの後を着いてガリラヤ湖を回って追いかけてきました。イエスや弟子たちは疲れているにもかかわらず彼らを追い返すことはしないで、病人を直したり、お話をしたりなさいました。
 そろそろ日が暮れかかるころ、弟子たちがイエスのそばに来て言いました。
 「イエスさま、ここにはどう見ても、五千人以上の人たちがいます。こんなに大勢の人では、200デナリ(1万6千ドル)分のパンを買ってきても、みんなにほんの一口しかあげられません。それに私たちは、そんな大金はありません。イエスさま、みんなにパンを食べさせてあげたいという、優しい気持ちはわかりますが、とても無理です。みんなに、暗くならないうちに家に帰るようにおっしゃってください。」
と話していました。
 でも、イエスは係のピリポに、「いいえ、あなた方で、この人たちに食べ物をあげるのです。」と言われました。弟子たちは集まっている人々の中を歩き回り、誰か食べ物を持っていないかと聞きました。

 

 さて、このガリラヤ湖の近くに小さな村がありました。そこにある小さな男の子が住んでいました。その男の子のおじさん、アンデレは、イエスの12弟子のひとりでした。
 その日、その男の子は、お母さんに言いました。「ぼくも、アンデレおじさんのように、イエスさまのお手伝いがしたいな!」お母さんはにこにこしながら言いました。「大きくなったら、おじさんのように、大勢の人をイエスさまのところに連れて来る人になれるでしょうね。でも今はまだ子どもだから、イエスさまのお手伝いはいいから、お母さんのお手伝いをしてね。これをアンデレおじさんに持っていって欲しいの。」そういってお母さんは男の子に大麦のパン五つと、お魚二匹を渡しました。「おじさんはいつも忙しくて食事をする暇もないから、きっとおなかがすいているでしょう。持っていってあげると、きっと喜ぶわ。」「うん、わかったよ。」男の子は、おじさんのお弁当を持って家を飛び出しました。
 男の子は、アンデレおじさんがいるところを知っていました。村を出て、小さな丘を越えたら、広い野原があります。おじさんはきっとそこにいるはずです。そこは、雨が降るといっぱい草が生えるので、羊飼いたちが羊を連れていくところです。彼も、お父さんと一緒に羊を連れて行ったことがあります。
      
 男の子は「今日もたくさん羊が来ているかな?」と考えながら丘の上から、野原を見渡しました。すると、どうでしょう。今日は、羊ではなく、大勢の人々が野原に座っていました。みんなイエスのお話を聞きにきたのです。もう、イエスさまのお話は終わっていましたが、だれも帰ろうとしないで、イエスから聞いたことをいろいろと話し合っていました。男の子は、こんなに大勢の人が集まっているのをはじめて見ました。
 「なんだぼうや、ひとりで来たのかい?」
 「ぼく、お母さんに頼まれて、アンデレおじさんにお弁当をもって来たんだ。」
 「それは、ありがとう。パンが五つに魚が二匹、少ないなあ。」
 「あれ? おじさんはそんなには食べられないと思うよ。」
 「いや、違うんだ。イエスさまがね、ここにいるみんなにパンを食べさせてあげたいとおっしゃるんだ。それで、おじさんたちは、誰かお弁当を持っている人はいないかと探していたんだが、誰も持っていなかったんだ。あったのは、十二個の空っぽのかごだけだった。お弁当を持っているのは、きみだけなんだよ。」
男の子はアンデレおじさんに会うと、イエスのところに連れていかれました。



 「イエスさまだ!」男の子は、こんなに近くにイエスを見たのははじめてでしたから、うれしくてしかたありません。アンデレおじさんが、イエスの前に進み出て言いました。
 「ここに、私の甥っ子が大麦のパンを五つと小さい魚を二匹持っています。しかし、こんなに大ぜいの人々では、それが何になりましょう。五つのパンと二匹の魚を、五千人以上の人で分けたら、パンくずの粉ひとつだって食べることはできません。」
 アンデレおじさんはそう言いましたが、イエスは、その言葉にも頷きませんでした。男の子は思い切って、「イエスさま、このパンと魚を使ってください。」と言って、お弁当のかごを差し出しました。イエスは、にっこりして、彼からそのかごを受け取りました。



 イエスさまは、かごからパンをひとつ取ると、それを天に高くかかげて、感謝の祈りをなさいました。そしてパンを二つに分けました。不思議なことにイエスがパンをわけると、半分づつではなく、二個にも、四個にも増えていくのです。イエスがお祈りをして分けていくとどんどん増えて、いくらちぎってもパンはなくなりません。たちまち、12のかごがパンでいっぱいになりました。お魚もおなじように、いくらわけても無くなりませんでした。
 「さあ、これを持っていきなさい。」
 弟子たちは、パンと魚のいっぱい入ったかごを持って行って、みんなに配りました。みんなイエスが分けられたパンと魚を食べておなかいっぱいになりました。
 みんなが食べ終わった時、イエスは、
 「残ったパンを集めなさい。一つも無駄にしてはいけません。」
と言われました。弟子たちが、みんなの食べ残したものを集めると、食べ残したものだけでも12のかごがいっぱいになりました。
 


 
 男の子は、イエスのなさったことを見て、ほんとうにイエスは私たちの救い主だということを信じました。 また、自分の持ってきたお弁当がイエスのお役に立ったことをとてもうれしく思いました。彼は、こどもでしたが、弟子たちと同じようにイエスのお手伝いができたのです。イエスさまのために何かしたい、神さまに喜んでもらいたい、そんな気持ちがあれば、こどもでも、いろんなことができると思ったのです。

Back