April


 


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アハブはエリヤを見ると、「お前か、イスラエルを煩わす者よ」と言った。 エリヤは言った。「わたしではなく、主の戒めを捨て、バアルに従っているあなたとあなたの父の家こそ、イスラエルを煩わしている。
(列王記上18章17〜18節)

 イスラエルの偉大な預言者の中でも最も有名な人物エリヤは、その激しい言葉、野人のような風貌、そして悪名高き王妃イザベルの異教崇拝に反対したことでその名を記憶されています。エリヤは紀元前9世紀の初めごろ、突然北王国イスラエルに姿を現し、すぐに神の代言者として衆目を集めますが、こつぜんとその姿を消しました。聖書には「エリヤは嵐の中を天に上って行った。 」と記されていますが、そのためユダヤ人は彼が戻ってくるのを熱烈に待ち望むようになったのです。
 エリヤはイスラエル王国のヨルダン川東方のギレアドにあるティシュベという寒村で生まれました。このあたりは山脈が連なり、岩が多く、乾燥した長い夏の間は気温が摂氏38度まで昇りつめるのが普通でした。気候が厳しい反面、土地はヨルダン川に注ぐ多くの小川で灌漑されており、非常に肥えていました。小麦畑が広がり、野菜畑も色々な種類の野菜が栽培され、また渓谷や丘陵の中腹を開墾した段々畑ではざくろやあんず、オリーブが栽培され、住民の多くは農民でありました。
 若いころのエリヤはナジルと呼ばれる聖別された人々の一人で、モーセの律法を厳格に守って生活し、断髪をせず、土地の所有と定住をせず、神への献身を表明したと言われています。
 当時の王オムリはツロとの同盟を強固にするために、息子アハブをフェニキアの都市ツロの祭司で王でもあるエトバアルの娘イザベルと結婚させました。イゼベルとその側近たちは狂信的にバアル神を信仰し、アハブは彼女のために大きな神殿を建てさせました。




 イゼベルの持ち込んだ異教は、敬虔なイスラエル人には反感を起こさせましたが、多くの民はその信仰を受け入れ始めました。王になったアハブはバアル信仰を正式な国教として認めはしませんでしたが、それの広がるのを抑制しようとはしませんでした。厳しい措置を取れば、王の支配力を根底から覆される恐れがあったからです。
 イスラエルの預言者たちがイゼベルの政策に異議を唱えると、彼女はその内の数名を処刑していまいました。エリヤが初めて国家の前に姿を現したのは、このような宗教的な危機のときでありました。
 彼は皮の腰布を身につけ、サンダルを履いて、両肩に毛皮の外套を羽織って、ギレアドを旅立ち、ヨルダン川を渡って南のサマリヤに向かいました。そして要塞都市の城壁をくぐりまっすぐに宮殿に向かいました。エリヤは豪華絢爛な拝謁の間に通されアハブ王の前に立ちました。彼は儀礼的な挨拶など一切述べず、ためらうことなく、イスラエルの民が主との契約を破り、異教の神を崇拝してる点に言及して、王を非難しました。
 エリヤは大声でこう呼ばわると瞬く間に姿をくらましました。
。「わたしの仕えているイスラエルの神、主は生きておられる。わたしが告げるまで、数年の間、露も降りず、雨も降らないであろう。」



 エリヤはヨルダン川のほとりやガリラヤ湖付近に身を隠していましたが、神様は毎日朝と夕のパンや肉をカラスによって運ばれました。また、サレプタの町では神様は一人の寡婦に彼の世話をさせるよう導きました。寡婦とその息子には一握りの粉と僅かな油しかありませんでしたが、神様はエリヤと彼女たちが十分凌げるように、粉と油は尽きることがないよう取り計らってくれました。エリヤが予言したとおり、その地方には干ばつと飢饉が襲いましたが、エリヤたちは食料に事欠くことはありませんでした。
 そうしたある日、突然寡婦の息子が病気になり死んでしまったのです。悲しみに打ちひしがれた彼女は、号泣しながらエリヤをなじりました。エリヤはその少年を抱きかかえると、自分に宛がわれていた屋根裏部屋へ上がり、神様に必死に祈りました。すると不思議なことに、その少年のまぶたが微かに動き少年は息を吹き返しました。
 彼女は深く感謝して。「今わたしは分かりました。あなたはまことに神の人です。あなたの口にある主の言葉は真実です。」 と言いました。



 このことがあってから間もなく、主はエリヤにアハブ王のところへ行き3年間続いた干ばつが終わると告げるように命じました。エリヤは世話になった寡婦に別れを告げると、サマリヤへ戻る旅路につきました。
 エリヤが宮殿に行き玉座の前に出ると、アハブ王は「イスラエルを悩ます者よ、あなたはここにいるのか」と問い詰めました。
エリヤは決然として答えました。
「わたしがイスラエルを悩ますのではありません。あなた方が主の命令を捨てバアルに従ったためです。」そしてバアルの預言者をカルメル山に集めるように言いました。
 カルメル山に来た多くの民の前でエリヤは、2頭の牛をそれぞれ薪の上に載せ、火をつけずに置き、神の名を呼んで火を持って答える神を神としましょうと言いました。バアルの預言者たちは数本のかしの木を切り倒し、薪を山のように積み上げ、生贄となる雄牛を切り裂いて薪の上に載せました。そして繰り返し「バアルよ、答えて下さい」と呼ばわりながら祈りました。いたずらに時は過ぎていき、彼らは生贄の周りを飛び跳ねたり踊ったり、しまいには狂ったように叫び、自分たちの身体を切りつけ始めました。しかし、答えるものも顧みるものもありませんでした。
 



すでに午後も遅くなりエリヤは自分の周りに集まるようにと群集に命じました。エリヤは12(イスラエルの部族の象徴)の大きな石で祭壇を築かせ、その上に丸太と生贄を載せました。そしてその上に水がめから水を並々とかけるように命じました。そして天に向かって大声で言いました。
 「アブラハム、イサク、ヤコブの神、主よ、私に答えて下さい。主よ、この民にあなたが神であることを知らせて下さい。」
 すると突然天空から雷が落ち、一瞬にして炎が生贄の雄牛ばかりでなく、薪や石の祭壇までも焼け尽くしました。驚愕した民衆は顔を地面にひれ伏し「「主が神である。主こそ本当の神である」と叫びました。
 勝ち誇ったエリヤは群集に命じました。「バアルの預言者を捕らえよ、その一人も逃がしてはならない。」エリヤの命令によって、民衆は呆然と立ちつくしているバアルの祭司たちを捕らえ全員を処刑しました。エリヤはこの処置によって、主の敵にたいする聖戦を布告したのです。

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