7年の間、マナセ族の人々はアラビアのミデアン人の襲撃に悩まされつづけました。
「ミデアンびとの手はイスラエルに勝った。イスラエルの人々はミデアンびとのゆえに、山にある岩屋と、ほら穴と要害とを白分たちのために造った。イスラエルびとが種をまいた時には、いつもミデアンびと、アマレクびとおよび東方の民が上ってきてイスラエルびとを襲い、イスラエルびとに向かって陣を取り、地の産物を荒してガザの附近にまで及び、イスラエルのうちに命をつなぐべき物を何一つ残さなかった。彼らが家畜と天幕を携えて、いなごのように多く上ってきたからである。すなわち彼らとそのらくだは無数であって、彼らは国を荒すためにはいってきたのであった。こうしてイスラエルはミデアンびとのために非常に衰え、イスラエルの人々は主に呼ばわった。」と記されています。
さて主の使がきて、アビエゼルぴとヨアシに属するオフラにあるテレビンの木の下に座しました。時にヨアシの子ギデオンはミデアンびとの目を避けるために酒ぷねの中で麦を打っていましたが、主の使は彼に現れて言いました、『大勇士よ、主はあなたと共におられます』。ギデオンはこたえました。『ああ、君よ、主がわたしたちと共におられるならば、どうしてこれらの事がわたしたちに臨んだのでしょう。』…王はふり向いて彼に言われました、『あなたはこのあなたの力をもって行って、ミデアンびとの手からイスラエルを救い出しなさい。わたしがあなたをつかわすのではありませんか』。ギデオンは主に言いました、『ああ主よ、わたしはどうしてイスラエルを救うことができましょうか。わたしの氏族はマナセのうちで最も弱いものです。わたしはまたわたしの父の家族のうちで最も小さいものです・・主は再び言われました、『しかし、わたしがあなたと共におるからひとりを撃つようにデアンぴとを撃つことができるでしょう』。
ある夜、主の命に従って、ギデオンはバアノレの祭壇を取り壊し、主のために祭壇を築きました。その町の人々は、ギデオンの行為に激怒しました。ヨアシは人々を脅すように、「あなたかたはバアルのために言い争うのですか。あるいは彼を弁護しようとなさるのですか。バアルのために言い争う者は、あすの朝までに殺されるでしょう。バアルがもし神であるならば、白分の祭壇が打ちこわされたのだから、彼みずから言い争うべきです」と言い返しました。
その間、ミデアン人たちはヨルダン川を渡り、エズレルの谷に陣を敷きました。その谷はマナセ族の領地の肥沃な平野であり、ギデオンの故郷もそこから遠くはありませんでした。ギデオンは、マナセ族やアセル、ゼブルン、ナフタリなどの北の隣接諸部族にも緊急の援助を求めました。これらの部族は即座に応じ、身体剛健な男を残らず派遣してきました。
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ギデオンの呼びかけに集まった軍勢は3万人余でした。 しかし、ギデオンは主の忠告に従い、戦闘の経験がなく訓練も積んでいない軍隊をミデアン人と対戦させないことにしました。ギデオンは兵士たちをハロデの泉に連れて行き水を飲ませました。喉が渇いていた兵士たちは大多数が水辺に膝をつき犬のように水を飲みはじめました。右手に盾と剣を持ちながら、左手片手だけで水をすくってすばやく飲んだ兵士は300人ほどだったのです。ギデオンはそれを見ていました。その最も勇敢な男を300人選び出し、他の者は故郷に帰らせたのです。
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その日の晩、ギデオンと家来のプラは、敵軍の状況を偵察して作戦を立てるために、敵陣にたどり着き、だれにも気づかれずに大きな天幕の野営地に近づいて行きました。野営地ではあちこちにかがり火が焚かれ、炎が揺らめいており、らくだの群れも住民もほとんど眠り込んでいました。2人が陣営内を忍ぴ足で歩いて行くと、2人のミデアン人の見張りの話し声が耳に入ってきました。
見張りの1人は、『わたしは夢を見た。大麦のパン1つがミデアンの陣中にころがってきて、天幕に達し、それを打ち倒し、くつがえしたので、天幕は倒れ伏した』。仲問は答えて言いました、『それはイスラエルの人、ヨアシの子ギデオンのつるぎにちがいない。神はミデアンとすべての軍勢を彼の手にわたされるのだ』。
ギデオンは夢の物語とその解き明かしとを聞いたので、礼拝し、イスラエルの陣営に帰り、そして声を張り上げて言いました、『立てよ、主はミデアンの軍勢をあなたがたの手にわたされる』・・・そして彼は300人を3組に分け、手に手にラッパと、からつぼとを取らせ、つぼの中にたいまつをともさせ、彼らに言いました、『わたしを見て、わたしのするようにしなさい。わたしが敵陣のはずれに達したとき、あなたがたもわたしのするようにしなさい。わたしと共におる者がみなラッパを吹くと、あなたがたもまたすべての陣営の四方でラッパを吹き、<主のためだ、ギデオンのためだ>と言いなさい』。
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こうしてギデオンと、彼と共にいた100人の者が、中更の初めに敵陣のはずれに行ってみると、ちょうど番兵を交代した時であったので、彼らはラッパを吹き、手に携えていたつぽを打ち砕きました。すなわち3組の者がラッパを吹き、つぽを打ち砕き、左の手にはたいまつをとり、右の手にはラッパを持ってそれを吹き、『主のためのつるぎ、ギデオンのためのつるぎ』と叫んだのです。そしておのおのその持ち場に立ち、敵陣を取り囲んだので、敵軍はみな走り、大声をあげて逃げ去りました。
ミデアン人は、陣営が松明で囲まれているのを見て慌てふためきました。大軍の攻撃を受けたと思い込んだのです。彼らはうろたえて、それぞれの天幕から走り出て、待ち構えていたイスラエル人の剣先に身をさらしてしまいました。ミデアン人の多くはヨルダン川の方へ逃れましたが、そこでエフライム族の兵士の大分遣隊に行く手を阻まれてしまいました。この隊はギデオンの命令で、ヨルダン川ほとりに集結していたのです。エフライム族の兵土とギデオンの追撃隊の問に挾撃されて、ミデアン人たちは簡単に打ち負かされてしまいました。そしてミデアン人の首長たちの首は間もなくギデオンに献上されたということです。
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