そのあなたが御心に留めてくださるとは
人間は何ものなのでしょう。
(詩編8篇5節)
創造主なる唯一の神様は、私達を神様の似姿に創造されました。それだけではなく、神様が造られた被造物を管理する役割を人に与えてくださいました。そのような特別な存在として造られた人間は、神様の子どもとして、神様の栄光を讃えるものであるべきです。
言い方を変えるならば、神様の子どもとして、神様の御名を賛美するところにこそ、真の人間性があるとも言えるのです。逆に言えば、真の神を知らず、神を礼拝しない人間は、真の人間性が欠如している状態であるとも言えるのです。
そして、人間性が欠如した人間は、人間が何のために存在し、何を目的として生きるべきかを見失った状態に陥り、人生に虚しさを感じてしまうこともあるのです。
経済協力開発機構(OECD)の統計によれば、日本における10代の子どもたちは、自己肯定感が極端に低いということであります。Z世代と呼ばれる子どもたち(10代~20代)は即自的な満足感を求める傾向が強く、将来に対しては、多くの子どもたちが悟りを開いたかのように、具体的な夢や希望を見いだしえていないとも言われている(いわゆる「悟り世代」)。
人間性の欠如は、決して、若者だけの問題ではありません。経済不振が続き、物価高騰、増税の課題、将来の年金問題などは、苦労して働いてもなお生活に厳しさを抱え、何のために生きているか、何のためにこれから生きるのかという見通しを見失った中年層も増えています。自らの死を深く意識させられる世代になれば、必然的に生きる意味を問う場面が増えてくるのだろうと言えるわけです。
神様は、この深い闇が広がる世界の中に、それでも諦めることなく、御子の救いを指し示してくださいます。御子の十字架の死と復活の救いを指し示し、神と人との関係を修復し、私達の人間性を再創造してくださいます。そのようにして、新たに生かされた人間は、神様の子どもとしての務めである礼拝へと立ち帰り、この世界で神様の僕としていきる目的を頂き、死を超えるほどの永遠の命まで約束されているのです。
今、この世界には、神様の福音、キリストの救いが必要であると言わざるを得ません。そして、教会は、この世界規模の課題の中にたって、収穫の主を信頼しつつ、堂々と福音―喜びの知らせ―を宣べ伝える必要があると言えるでしょう。今こそ、教会は、神様の御許に立ち帰り、霊性の回復、礼拝意識の回復、祈りの運動を取り戻し、主の恵みに応答する備えをすべき時なのです。そして、伝道は、決して、人を集めることではありません。伝道は、神様の救い御業に信頼し、福音(キリスト)を伝えることです。大事なことは、御言葉の妨げになるものを、できるだけ手放し、ただシンプルに、御言葉だけが集中している教会を形成していくことなのです。収穫の主に祈りつつ、新しい年度を歩み出したいと思います。
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