今月の特集題
  
-試練と喜び-

その日を迎えるたびに




こころを高くあげよう
白吉 肇子
無料イラスト 10月かわいい に対する画像結果 大抵の事は「大丈夫、大丈夫、なんとかなる」と楽観的に捉える私ですが、時には大きな壁にぶち当たり、身動きが取れなくなってしまう事があります。楽観的な分、壁にぶつかると泥沼にあえいでいる様な気持ちになってしまいます。冷静さに欠け、周りが見えなくなり「どうしよう…どうしよう」と右往左往してしまい、心は混乱してしまいます。夜中にぱっと目が覚めて「あー、もう嫌だ!神様なんていないじゃないか」と声をあげる時もあります。そんな時は聖書や色々な本を片っ端から読みあさり、そこから何かを得ようともがきます。でも、文字が目に映るだけで内容はちっとも心の中に入ってきません。自分の思うように心が動かず、いい歳をして本当に情けなくなります。
 こんな私でいいのだろうかと自問自答している時に、礼拝である讃美歌に出逢いました。現在ネット礼拝の録画の為、第一礼拝で聖餐式のあとに讃美歌が歌われます。ずっと第一礼拝に出席していた私は、その時初めて聴きました。その讃美歌は、讃美歌第二編一番の『こころを高くあげよう』です。コラール風の厳粛なメロディと、全員で歌いあげるその歌詞にブルブルと心が震える思いでした。すぐ歌詞に目を通し、二番の歌詞を読んだ時、涙があふれだしました。幸いマスクのおかげでごまかせましたが。
 『霧のようなうれいも、やみのような恐れも、みなうしろに投げ捨て、こころを高くあげよう』
そうか、うしろに投げ捨てるのか。固執した思いや執着心などの負の心を全て手放すのか。ずっと下を向いていた顔を上にあげるのか。顔を上にあげて神様を見つめるのか。
 自分で自分の心を高くあげる事はなかなかできませんでしたが、神様を見つめようとする心を、きっと神様が引きあげて下さるのではないかと思いました。自分勝手な解釈に心がフッと柔らかくなった様に感じました。あんなにあんなに苦しんだのに、こんな一瞬の出逢いでこんなに心が変われるのだと思った時、そこに神様の存在を感じるような気がしました。
 私はこの讃美歌で手放す勇気をもらいました。いつかまた壁にぶつかる時も必ずあると思います。それでも今までのような泥沼にあえぐ事も少なくなっていく事でしょう。
 どんな時もこころを高くあげ、神様を見あげて生きて行く事ができると思うから。      
(しらよし はつこ)


だいじょうぶ
土屋 恵子
 キンモクセイの花の香りが漂うこのごろ花粉症の私は「いい香り」と感じた途端にくしゃみが続きます。子どもたちとの散歩での出来ごとです。保育の仕事と向きあって30数年が経ちました。子どもを信じて向き合うこと、成長には一人ひとりの気持ちを満たすていねいな関わりは欠かせません。日々「わたしでいいですか」と問いかけて向きあうことを大切にしています。コロナ禍でマスクで口は覆われて目元しか見えずとも、0歳クラスの乳児でも「だいじょうぶ」と言ってるかのように、私たちにほほえむ顔を見せて、子どもたちから寄り添ってくれる姿は愛しいです。「何事にも時があり、天の下の出来事にはすべて定められた時がある。」(コヘレトの言葉三章一節)
 災難や苦しみはしっかり受けとめて「だいじょうぶ」ほほえみを失くさず希望を持ち祈り求めていくことを大切にしたい。新聞の記事に「だいじょうぶ」未来は明るいよとありました。どの道にもそれぞれの苦労がある。『だれにだってあるんだよ ひとにはいえないくるしみがだれにだってあるんだよ ひとにはいえないかなしみが』(相田みつを)
 気づかぬうちに思いがけなく体調の変化から、心の疲れ、ストレスがさまざまな形で起こりうるときに一人であることに気づくと表面では何気なく振るまっていても、年齢もそろそろかな、心の疲れストレスも感じる。「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。」(マタイによる福音書11章28節)
 泣きたいときは泣いていいんだよ涙はそのためにある。見ようとしなければ見えない、聞こうとしなければ聞こえてこない。子どもと向きあう中で大切にしていることです。心の疲れをおぼえていると泣くことができず泣かないもん!!と強気な自分があり、教会の礼拝に出席して聖書に、み言葉に耳を傾け、お祈りして神様と対話することはありのままの自分を受け入れ未だ途上であるので、ゆっくりとあせらず向かいあっていくようにしたい。
 週一回のパソコン教室で文字が見えにくくても「だいじょうぶ」と頑張ってしまいます。いろいろな自分と楽しくつきあっていきます。『野に咲く花のように風に吹かれて 野に咲く花のように人を爽やかにして そんなふうにぼくたちも生きてゆけたら素晴らしい 時には暗い人生もトンネルぬければ夏の海』。心が柔和で優しくなる歌詞が好きです。 
 人にも自分にも優しく素直に生きていくことはわたしがわたしらしく生きていける力のような気がします。
(つちや けいこ)

越谷教会月報みつばさ2020年10月号特集
「その日を迎えるたびに」より



特 集