日独ユースミッション (7/22〜8/8)
四年後のアイスクリーム
清水 義尋
しっとりと濡れた石造りの街を共に歩きながら、雨空を映した青い瞳を曇らせて「イングランドみたいだね」と呟く。ドイツ人が、ぐずついた空模様が何日も続くことを英国の天候になぞらえて揶揄することを、四年前の僕は知らなかった。
宗教改革五百周年という記念すべき年に、神学生という立場で再びドイツへ行くことを許された。ドイツという地は、僕の信仰を育んでくれた、特別の場所である。初めてドイツへ行った時の自分は、今よりもずっと幼く、不信仰な者であった。しかし、そのような僕を見捨てることなく導いてくれた主のお陰で今の僕がある。
今回のユースミッションは、そのことをもう一度見つめなおすきっかけとなった。帰国前日、聖餐礼拝の後、久々の晴れやかな青空に導かれ、僕達は散歩に出掛けた。僕は陽の光を手で遮りながら「ここはイングランドじゃないね」と言ってみた。
彼女は「そうね」と笑って頷き「アイスクリームを食べよう」と言った。アイスを片手に散歩を続けながら、以前、この街を訪れた時の僕のことを思った。
あの頃の僕は、四年後、自分がきちんと正装して、この街の教会で聖餐に与かることになるのを知らない。
その後、自分が神学校に入学し、神学生として学んでいることが、四年後、ドイツの教会で礼拝を守れることの喜びを、より深めることになるのを知らない。そして、主が与えてくださった友人と四年後再会し、共に礼拝を守った後、他愛のない冗談を言いながらアイスクリームを食べることになるのを知らないのだ。
ドイツの乾いた陽射しが左手に持っているラズベリーアイスを溶かし、僕のスラックスにピンク色の染みをつくる。せっかくの一張羅を台無しにしている格好悪い僕をいつの日か振り返る時、その時の僕はきっと、今の僕が知らない新しい僕であり、その時はきっと、異国の友人と、ドイツらしい爽やかな青空の下で、アイスクリームを味わっているのだ。きっと。
(しみず よしひろ)
ワークショップ、宗教改革に関して共同で絵画制作
ワークショップ、ルターの生まれ、学歴、仕事、聖書の翻訳、敵対者、友人等についてそれぞれが担当し、英語で発表