特別伝道礼拝 マティーアス・プッペ牧師を迎えて

主を信じて漕ぎ出そう
(プッペ牧師の手に触れて)

貴田 陽一

 どこまでも広がる大地、恵まれた畑、空は青く鳶が舞う、ぶなの森は深々と、そこには1000年の人の営みがある。その村には800年の歴史を持つ教会がある。
 プッペ牧師の説教はこのような抒情的な語り口ではじまった。
 そして今教会の礼拝出席者は10名多くて30名である。この村の残り1600人は礼拝に来ない。
 彼らの心の中は、庭の手入れ、パーティのこと、畑のこと、あたかも信仰が無くとも生活ができる、信仰を考える余裕すら無い。ましてや東ドイツから入って来た若者達は十字架の意味を知らない。シリア、アフリカの難民も入って来ている、村の人達の不安もある。
 こんな環境の中で教会は戦っている。私はマティーアス・プッペ牧師の手を握った。がっしりとした肉厚の頼もしい手だった。
 師は語る。イエスはペテロに向かって「沖に漕ぎ出して漁をしなさい」と言われた。ペテロは漁の専門家だ、漁師集団の頭だ、夜通し漁をしたが何もとれなかった。しかしイエスの言葉に従った、するとおびただしい魚がかかった。さあ私達も漕ぎ出そう、イエスを信じて。
 二つのことを心に抱いて、「心をつくして神に仕えよう」「心をつくして人に仕えよう」きっと主は奇跡を示したもう。
 今回ドイツの若者もお世話になった。この若者たちが、日本の若者たちと共に漕ぎ出して行くであろう。日本滞在に深い感謝をささげる。私はプッペ牧師の手の感触を忘れない。

(きだ よういち)


越谷教会月報「みつばさ」2015年9月号より