遠い遠い昔のこと、ある地方でサラという羊飼いの少女が羊の番をしておりました。サラは寒い晩に野原で番をしてたとき、ふと空を見上げると見たこともない光輝く星を見つけたのです。サラはその星をみておばあさんの話を思い出しました。「いつか星の輝く晩に救い主がお生まれになるのだよ」と。そのころ、その星を見た遠い国の三人の博士が贈り物を持って旅を続けていました。 |
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「救い主に一目会いたい、拝みにいきたい」という一心でサラは輝く星を道しるべに歩き始めました。寒さや空腹など気にせず、石ころだらけの道をひたすら歩き続けやっとベツレヘムの街はずれにある洞窟に辿り着きました。輝く星がその厩の洞窟の上でとまったのです。 |
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そこには先客がいました。三人の博士たちです。サラは洞窟の入り口の陰にしゃがみこんで、賢者たちが贈り物をするのをじっと見ていました。サラは博士たちの素晴らしい贈り物を見て自分が何の贈り物も持っていないことに気がつき、静かに泣き始めました。来る途中にサラは、野原で花を捜しましたが、寒い冬に花なんか見つかるはずがありませんでした。 |
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すると空にいた天の使いが、サラに目に留め、彼女が贈り物を持っていないのを嘆いていることに気付きました。天使はサラがあまりの悲しみにうなだれているのを見て、ほんの少しの奇跡で彼女を手伝うことに決めました。天使は、彼女の足の下の涙が落ちたところの雪をそっと払いのけて、根元がピンクで雪のような白い花びらのバラの茂みを創り出しました。そしてこの花はどんなに高価な贈り物よりもはるかに貴重なのだと、羊飼いの少女の耳にささやきました。「これを摘んで救い主にお献げしなさい、きっとお喜びになりますよ」 |
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サラはうれしそうに花を摘み、洞窟に入ると赤ちゃんイエスさまに贈りました。赤ちゃんイエスさまは、その贈り物が愛の涙で起こされたのを知っておられたので、ありがとうと彼女に微笑みました。
このようにして、クリスマス・ローズは、素晴らしい望み、愛などを象徴するようになりました。
クリスマス・ローズ(冬の寒さの間だけ、咲く花)がクリスマスシーズンに欠かせないものになったのは、この伝説のためなのです。 クリスマス・ローズの伝説のように、あなたがたとえ何を贈っても、それがたとえ贈り物が「小さな花」であるとしても、身も心もからでなければならないと人々に伝えてくれるのです。
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