12月16日(土)




イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。」
(ヨハネによる福音書 20章 29節)




 100年前の1897年9月21日、ニューヨークのある少女が『ニューヨーク・サン』という新聞に手紙を書きました。『ニューヨーク・サン』はこの少女の手紙に社説で答えました。「サンタクロースはたしかにいる」と。この社説を書いたのは副編集委員、フランシス・チャーチ (Francis Pharcellus Church) でした。




こんにちは。

 私は八さいです。私のともだちはサンタクロースなんかいないって言います。サンしんぶんに書いてあることならほんとうだとパパはいつも言っています。ほんとうのことを教えてください。サンタクロースはいるのですか。

バージニア・オハンロン西95番通り115



 バージニア、あなたの友達はまちがっています。その子たちはなんでも疑ってかかろうとする悪い心につかまってしまっているのです。このような人は自分の目で見ないとなにも信じないのです。自分の小さな頭で理解できないものはみんな存在しないものだと考えるのです。バージニア、人の心というものは大人でも、子どもでも小さいものなのです。この広大な宇宙では人間というものは、その知力にかけてはただの虫、ありみたいなものなのです。人間をとりまく無限の世界と比べてみてください。あらゆる真実と知識を意のままに把握することのできる神の知力と比べてみてください。




 バージニア、そうですとも、サンタクロースはいるのです。愛や、思いやりや、ひたむきな心というものがあるように、サンタクロースも存在しているのです。こういった心をもっている人はたくさんいて、私たちの人生に無上の美と喜びをもたらしてくれています。サンタクロースのいない世の中なんて、さびしいではありませんか。バージニアみたいな子がいなければこの世の中はなんとさびしくなることでしょう。子どもらしい心、詩、ロマンスがあるからこそ、この世のつらいこともがまんできるのではありませんか。サンタクロースのいない世の中なんて、手でふれたり、目で見る以外に喜びがなくなる世界です。子供の時代があるおかげでこの世がきらきら輝く、その永遠の光が消えてしまいます。



 サンタクロースを信じないと言うのですか。 妖精も信じないのでしょうね。お父さんに頼んで人を雇ってもらい、クリスマスのイブ、あちこちの煙突を見張ってもらったとしましょう。サンタクロースが煙突を降りてくるのを見なかったとしても、それがどんな証明になるというのでしょう。だれにもサンタクロースは見えません。でも、それがサンタクロースはいないという証拠にはなりません。この世で一番真実は、子供にもおとなにも目には見えないものです。妖精が草の上で踊っているのを見たことがありますか。もちろん、ありませんね。でも、それが妖精はいないという証拠にはなりません。この世の中にあるもので、目に見えないすばらしいものをすべて頭に描いたり、想像したりするということはだれにもできないことです。



 赤ちゃんのガラガラをこわせば、どうして中から音が出るのか調べてみることはでるでしょう。でも、目に見えない世界をおおっているベール、これは世の中の一番の力持ちのそのまた一番の力持ちがみんなで力をあわせても引き裂くことはできません。このカーテンを引き開けて、天上の美とそのかなたにある栄光を目にすることができるのは、信じる心、想像力、詩、愛、ロマンスだけなのです。これらは形あるものなのでしょうか。バージニア、これらほど真実で変わらぬものはこの世にはありません。



 サンタクロースがいないですって。とんでもありません。サンタクロースは永遠に生きています。バージニア、これから千年後、いや、一万年の十倍たったときでも、サンタクロースは子供たちの心によろこびをもたらし続けてくれるのです。

 

 

 

             

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