12月9日(土)



 

 
友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。
                              (ヨハネによる福音書 15章 13節)

 ある年のクリスマスのことです。ペンギンの子供たちのロブとフレッドとミッキーは、氷村のすべての住民の前で歌を歌うことになっていました。 そして、うまく歌えたときには、三人は金色の星をクリスマス・ツリーのてっぺんに飾る役目をさせてもらえる約束でした。
 いよいよ今日はクリスマス・イブの朝です。でも、ミッキーはベッドから起きると、くしゃみをし始めました。ミッキーの声は無残にも、ガラガラ声になっていました。 さあ、大変です。
「ロブ、フレッド、今夜ボクは歌えないから、二人で歌ってくれ」
「なんてことだ、ダメダメ!二人きりでなんて歌えないよ!」
 でも三人のかわいい歌手たちが歌わないでクリスマスを迎えるなんて氷村の住民たちはとっても悲しむに違いありません。

    

 彼らは、ミッキーにはやく治療を受けさせることを真剣に考えました。3人の友人は、お医者さまのロロ先生に会いに行きました。 ミッキーを診察したロロ先生は、ため息をつきました。
 「短時間でミッキーを直すことができる方法が一つありますよ。」
その時ミッキーがまたくしゃみをし始めたので、ロブとフレッドはミッキーのくちばしをガーゼで押えながら
 「どのように?」
と、いっしょになって叫びました。
 「2,3時間のうちに風邪を治療することができる唯一のものは、インド洋で見つかる金色の海草です」
と、お医者さまは説明しました。
「でもボクたちはインド洋なんて遠すぎて行けないよ!」
と、小さいペンギンは絶望的に言いました。
「今年のクリスマスに歌うのは絶対無理だよ!」
と、フレッドはがっかりして、涙を流しました。 

 

 その暖かい涙が冷たい海に落ちて、小さい魚のピンチョの上に当たりました。
ピンチョはこれに驚いて
「いったいなにがあったんだ?」
と氷の上に顔を出しました。
ロブとフレッドは、ミッキーが病気になってしまったこと、そして、彼を直すことができる唯一のものが
インド洋にある金色の海草であることを、ピンチョに話しました。
 「インド洋!」
ピンチョは叫びました。
 「待って、いいかんがえがあるよ、ちょっと待ってて。」
そして、小さい魚は、氷のように冷たい水の中に消えて行きました。

 

 北極海の深いところで、ピンチョは仲間たちにある計画を説明しました。数時間の猶予も、ありませんでした。 持てる力をすべて奮い起して、小さい魚たちは、海中で彼らの友人に信号を発しました。彼らはメッセージを繋げて行きました。
 そして、わずか数分で、メッセージは北極海、そして太平洋を横断し、なんとインド洋に到着したのです。チョウチョウウオは自分のひれを思い切り漕いて、金色の海草の生えている場所に駆け付けました。そして、金色の海草は彼らの手から手へと持ち運ばれて、北極海まで辿り着きました。

 

 ピンチョが金色の海草を小さいペンギンに手渡したとき、かろうじて正午でした。
 ミッキーはカップ1杯の海草ハーブのお茶をむさぼり飲みました。なんと、またたく間に、彼の声は元に戻ったのでした。
 ピンチョは時の英雄でした、そして、我々の友人は大勢のペンギンから大きな拍手を受けました。
 その日のクリスマスイブの演奏会は大成功をおさめました。ロブとフレッドとミッキーの歌声は美しく、高らかに響き渡り氷村の人々を魅了しました。もちろん、三人は美しい金色の星をクリスマス・ツリーのてっぺんに付ける名誉にあずかったことは言うまでもありません。彼らはなんて誇りに思ったことでしょう!
 メリークリスマス、氷村のペンギンさんたち!

 

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